前置き

はじめましてこんにちは、「Aoto46」という者です。

今回は、自作ガレージキットを製作するにあたり「個人で複製作業をされている方」、または「これから複製を始めてみたい」といった方に向けて、一つの画期的な手法を紹介したいと思います。

自作ガレージキット製作といえば大変な苦労の連続ですが、中でも「複製工程」は個人でやるには非常に手間がかかり、良い結果を出すために必要な知識も難易度も相当に高いものです。

一般的にはハードルが高いと思われがちな遠心型複製ですが、予備知識とちょっとの工夫があれば、大掛かりな設備投資を行うことなく身近な物を使って簡単に導入することが可能です。

今回はそんな「一般家庭で簡単に実践できる遠心型複製 2020年改良版」について、型の作り方から複製の手順に至るまでの全てを余すことなく紹介していきたいと思います。


※以前にも一度遠心型の作り方ついて紹介したことがありましたが、手順や使う道具を見直すことで以前の物よりもさらに改善させることができました。

基本の方法論は前回も今回も同じ物ですが、過去の記事では経験不足ならではの失敗例とその改善策を詳しく解説しているため、余裕があれば前回の記事もチェックされるとより理解の幅が広がるかと思います。

前回の記事↓
「遠心複製の実験 仮まとめ その1」


今回紹介する遠心型複製には以下の特徴があります。

・粘土埋めをしない
・透明のシリコン材を使用
・真空脱泡機は不要(使えば効率を上げることができる)
・なるべく100均やホームセンターで手軽に入手できる材料を使用
・慣れれば型取りを始めてから3~4日で複製開始可能
・設備費総額 約15000円~(シリコン、レジンなどの消費材料は除く)


本記事で紹介する方法は、各自で真似したり改良派生したりなど自由に使っていただいて問題ありません。
SNS等での拡散も大歓迎です。
(文章・画像など内容そのままの無断転載は遠慮願います)

もし記事を読んで「興味がある」「面白い」と感じたら、ぜひ参考にしてチャレンジしていただけると嬉しいです。

遠心型だけでなく他の複製方法にも応用できる内容も一部含まれているため、「遠心はちょっと…」という方でも楽しめると思いますので、是非ご一読ください。

本記事の内容はある程度複製を経験した事のある中級者向けを前提としており、全く経験のない方には理解が難しい部分もあるかと思います。

分からない事や聞いてみたいことなど何でも質問いただければ可能な限りお答えしますので、その際はどうぞ遠慮なくお声掛けください。

それでは前置きはこれくらいにして、早速本題に入っていきましょう。


用意する物

・手回し遠心機(手動の洗濯脱水機。通販で6千円くらい)
・鋼板2枚(1枚は円盤、1枚は中心に穴の開いた物)
・クランプ3本
・ アルミ丸型(鋼板と同じ直径の物)
・小鍋

・カッター
・カミソリ

・原型パーツ
・透明シリコン
・レジンキャスト液

・ワセリン
・離型剤
・電子はかり

・プラコップ
・紙コップ
・ラップ
・輪ゴム
・割りばし
・マジックテープ付きのゴムバンド(ダイソーにて販売中)


型取り

原型パーツが無いと何も始まらないので、まずはパーツを用意します。

手塩にかけて磨いてきたパーツたち、どれも艶やかに輝いていますね。

ではこれをさっそく、











適当にシリコン鍋に沈めます




複製を少しでも経験されている方であれば「????」となることでしょう。

ですがちゃんと理由があっての行動ですのでご安心を。

もちろん「適当に」というのは大ウソで、事前にするべきことが数点ありますので、まずは最初の「パーツの下準備」から順を追って説明していきます。


【パーツの下準備】

複製を行う際、型の上面・下面の合わせ目である「分割線」という物がでてきます。

一般的な粘土を使った型取りの場合、この分割線は粘土の表面によって作られるものですが、ここで紹介する方法では粘土埋めを行いません。

ではどうするのかというと、一旦シリコンでパーツ全部を埋めた後に、カッターで切り出すことによって分割線を作り出します(通称”切開型”)。

私は粘土埋めにかなりの苦手意識があるのでこの手法を使っていますが、もちろん粘土を使っての型取りでも可能ですし、むしろその方が単純で効率的です。

また切開型は、後でカッターで切り出すという手法上、型取りに使用するシリコン材は透明の物でなければいけません。

以上を踏まえて、ぜひご自分のやり方に合った方法をお試しください。

切開で分割線を作る場合、あらかじめパーツに分割線の位置にアタリ線を引いておくと、後でカッターで切り出す際に非常にやりやすいです。

同時にレジンの湯口に当たる部分も書き込んでおくと、後でパーツを並べる際に迷わずに済むでしょう。

※分割線や湯口の最適な条件はパーツの形状によって多種多様で異なりますので、ここではその説明は省略します。

このパーツならどこからレジンが入り込み、どんな風に流れていくのが最良か、一つ一つ頭の中でイメージしてベストな条件を考え抜きましょう。

分割線を指定することで、パーツに上下が生まれます。

これもパーツの形状次第ですが、
・「ディテールが多くありなるべく綺麗になって欲しい面を下」
・「なるべく平ら・篏合面や裏側など最終的に見えにくくなる、最悪気泡が入ってしまってもいい面を上」

とします。

パーツによってはどちらが上下になっても一緒な形もありますが、その場合はお好みで。

上の画像の上体パーツでは、両面に同じくらい服のシワのディテールがあるため上下の選考が難しく思われますが、「よく見える前面を優先」という考えで前面を下にしています。

以上で型取りの下準備完了です。

注意として、マーキングで書き込んだ文字は複製後のパーツにうっっすらと現れてしまいますので、気になる方はマーキングは省いてもいいでしょう。

サフや塗膜で一瞬で消えてしまう程度のものですので問題ないとは思いますが…


原型パーツの型取り

鍋などの容器にパーツを並べていきます。

ここではパーツの「下」の面を上に向けて置きますのでご注意を。

またシリコン液を流し込む際にパーツが動いたりしないよう、マスキングテープなどでパーツを容器の底に固定します。

分割線より下のシリコンはカッターで切り取って捨てるので、テープを貼ったりパーツに気泡が残っても問題ありません。

後々の作業性を考えて、パーツとパーツの間は最低1cm以上は間を空けた方がいいです。

容器にパーツを並べ終わったら、シリコン液を投入します。

シリコン液は多く使うに越したことはありませんが、できるだけ無駄は省きたいものです。

ここでは「一番大きいパーツの頂点から2cmくらいの高さ」を目安に、シリコンを流し入れましょう。

後でも説明しますが、パーツの角度や高さを調整するためにこの余剰シリコンをカットする事があるので、使用するシリコンが多ければ多いほど調整の幅が利きます。

シリコン液を流し終わったら、ごみなどが入らないようラップを被せて硬化するまで待ちます。

※真空脱泡機を使う場合
真空脱泡機をお持ちの方は、脱泡することでシリコン内やパーツに気泡が残るのを防ぐことができます。
不要なシリコン材を細切れにしたシリコンくずを使ってシリコン液の量を削減する場合にも、簡単に気泡を除去する事が可能です。

真空脱泡機を使わない場合は、気泡残りの要因になるのでシリコンくずは使わない方が無難です。
また、シリコン液を流した後にパーツの細部に気泡が付いていないかよく観察して、つまようじ等で気泡を逃がすなど工夫が必要です。


パーツの切り分け、分割線の切り出し

硬化したらシリコンを容器から取り出し、カッターでパーツごとに切り分けます。

※シリコンはカッターの刃を普通に入れようとしても、シリコンの摩擦で刃が入らず切ることができません。

シリコン表面を指で開きながらカッターの刃を入れるようにしてカットできますが、力加減が難しく少し慣れが必要です。
リングプライヤー(握ると先端が開く)のような器具を用いると多少はやりやすくなるかと思いますので、気になる方は試してみてください。

怪我をしやすい部分なので、十分気を付けて作業しましょう。

分割線のアタリに向かって、カッターで切り出していきます。

ポイントとして、分割線は「パーツを取り出せるギリギリくらいまで”上面”に寄せる」事を意識してください。


理由は以下の二つです。

①パーツがシリコン型の上面寄りに埋まっていると、空気が溜まりやすくレジンがパーツに充満しにくい

②全部のパーツをシリコン型のどちらか片面だけに寄せることで、複製してレジン硬化後に型を開きやすくパーツを破損させにくい

分割線を切り出し終えたら、シリコンがなるべく「台形」になるように周りをカットしていきます。

これは後でシリコン型の上面・下面が重なりやすくするためです。

これでパーツ単体の型取りが完了しました。

まだまだ続きますので、今回はここまで。

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