はじめに


みなさんこんにちは、Aoto46です。

今この記事を開いている方の多くはきっとこう考えていると思います。

「もっと綺麗な瞳が欲しい……!!」と。

お気持ちは痛いほどよく分かります、私だってそうでしたからね…

今回は、そんな悩みを解消して余りあるパワーを秘めた「自作瞳デカール」について紹介したいと思います。


突然ですが、まずはこちらの画像をご覧ください。

 

 

左側は実際に私が筆でアイペイントした作品で、右側が自作瞳デカールを使った作品になります。

左側の作品は私がフィギュア作りを始めてすぐの頃に作った物ですので今ならもう少しはうまく描けそうですが、それでも右の瞳より上手に描くことはおそらく私には一生掛かっても出来ないでしょう。

自分の作品を自分で貶めるようなことはしたくありませんが私も人の子、正直に言って左側の画像を見ると目を背けたくなりますし、反対に右側の作品はいつまでだって見続けていたいくらい惚れ惚れする出来栄えです。


そんな魅惑の瞳デカール、「いやいや既製品を使うだけならともかく自作なんて超難しいんじゃないの?」と思われているかもしれませんが、そんなことは全くもってありません。

今回紹介する記事の内容を読んで実践すれば、「誰でも」「簡単に」この右の画像のような瞳を手に入れることができます。やったぜ。


瞳デカール導入のメリット


本題に入る前に、自作瞳デカールを使う事のメリットを一通り確認しておきましょう。

①短時間かつ簡単にフィギュアの完成度を爆上げ

いろんな所で耳にする言葉なので皆さんも分かっていると思いますが、キャラクターの命とも言えるほど顔、特に瞳は重要な部分です。

キャラクターのイラストやフィギュアを目にした時、人は無意識にまず瞳を探そうとします。

例外はあるにしても、多くの場合は最初に瞳が目に飛び込んできて脳に強烈なイメージを訴えかけてくるので、その瞳の出来が第一印象の良し悪しを決めてしまうと言っても過言ではないでしょう。

厳しいようですが、瞳の出来が悪いフィギュアは目にして数秒と経たずにサヨナラされることもあります。それが現実です。

そんな絶対的条件とも言える「綺麗な瞳」が、自作瞳デカールでは練習の必要もなく短時間かつ簡単に手に入ります。

  

②時間短縮・労力削減により他の部分にもっと手を回せる

アイペイントは精神的負担が大きいうえ、面相の作業に入るのも製作の最後の方になりがちなので、今までの作業で疲弊している所への追い打ちになります。

ここを楽にできることで精神・体力・時間的にも余裕が生まれ、他の部分により多くの力を注いで作り込む事ができるでしょう。

また短時間での量産性にも優れているため、塗装済みの完成品販売なども容易に行えます。

  

③アイペイントとの組み合わせにも有効

それでもアイペイントにこだわりたいという方、瞳デカールをアタリとして使用して、上から重ねてアイペイントをするという複合技も非常に効果的です。

塗料に比べてデカールは発色が劣るとも言われていますし、「輪郭はデカールに任せて中身の色を塗料で塗る」といったやり方をすれば、”シルエットも発色もバッチリ”なんていう両者の良いとこ取りができます。

また、後々アイペイントだけの瞳を極めたいという方にも、まずは瞳デカールを使ってみる事をオススメします。

瞳デカールで作品をたくさん作って「自分の理想の綺麗な瞳」に目を慣らしておけば、いざアイペイントに切り替えた時に「デカールはこれより綺麗だった、もっと綺麗に描かなくちゃ」という指標になります。

無意識の「これくらいでOK」のラインを上げるためにも、瞳デカールに触れておくメリットは大きいと思います。

  

④自作キットに瞳デカールを付属する事で販売のアピールに

これは自作ガレージキット販売をする製作者へ向けての話になりますが、製作者が思っているのと同じかそれ以上に購入者側もアイペイントについての懸念は大きいと思われます。

「瞳デカール付属」の一文があるだけで、購入者の不安を大きく下げる事が期待できます。

  



少し前置きが長くなりましたが、とにかくこんな良いこと尽くめの瞳デカールを使わない手はありません。

みなさんにも是非とも実践してもらって、その効果をご自身で体感してもらえればと思います。


用意する物

・パソコン
・画像編集ソフト( CLIP STUDIO PAINT 、Photoshopなど)
・インクジェットプリンター
・インクジェットプリンター用 デカール用紙 白・透明
・インクジェットプリンター用
A4シール用紙
・A4コピー紙(テスト印刷用)

・方眼マット

・定規
・はさみ
・ピンセット(精密作業用)
・マークセッター
・マークソフター
・綿棒
・キムワイプまたはティッシュ
・エアブラシ(クリアコートに使用。クリアのスプレー缶でも代用可能)

※画像編集ソフトについて
この記事では「CLIP STUDIO PAINT」をメインに使用して紹介していますので、「 CLIP STUDIO PAINT」もしくは「Photoshop」の使用を推奨しています。

基本的にどんな編集ソフトでも備えているような標準的な機能を使って説明しているため「SAI」など他の編集ソフトでも代用可能ですが、記事の中で一部使用できない機能もありますのでご注意ください。

画像編集ソフトをお持ちでない方は、比較的安価で豊富な機能を扱える「 CLIP STUDIO PAINT PRO」の購入をお勧めします。

  

瞳データの製作にあたって

それでは実際に瞳デカール用のデータを作っていくわけですが、最初に皆さんに一つお願いがあります。

今から紹介する方法で瞳データの製作を始めるにあたって、「イラストを描く」という意識は捨ててください。

これから行うことはどこまでも「結果を良くする事だけを第一に考えた”完全な作業”」であり、おおよそ「イラストを描いて楽しむ」という行為とは程遠いからです。

普段から個性溢れるキャラクターイラストを描いて楽しんでいる方ほど、自分のやり方とこの記事とのギャップに苦痛を感じてしまうかもしれません。

なので「いやいやイラストには自信があるぜ!」っていう方も一旦イラストを描く意識から離れて、私の説明する方法にお付き合いください。

絵描きさん御用達のペンタブレットや左手デバイスといったような機器は必要ありません。マウス1つあれば十分です。

キャラクターイラストを今まで一度も描いた事が無い人でも、ここで紹介していることを順番通り忠実に行っていけば最後には確実に「理想の瞳デカール」が完成する、今から紹介するのはそんな内容です。気楽にいきましょう。

それでは早速、まずは瞳データを作るための下準備から始めていきます。


前準備

・顔パーツの撮影

最初に顔パーツの写真を撮影して、瞳データを作るための土台を用意していきます。

   

肌色塗装後、クリアコートでツルツルのピカピカにした状態の顔パーツを方眼マットの上に置きます。

瞳の面がなるべく水平になるように、物を敷くなどして角度を調整しましょう。

髪パーツを付けていた方が最終的なイメージが付きやすくなりますが、髪パーツによって目が隠れてしまうような場合は外しても構いません。

続いて、顔パーツのすぐ下に定規を配置します。

定規の目盛りが瞳の高さと同じになるように、こちらも定規の下に物を敷いて高さを調整します。

 

配置が整ったら、スマホやデジカメなどで「真上から、瞳の面ができるだけ水平に写るように」撮影します。
(角度が付くと後ろの方眼にパースが付いて判断できるので、なるべく方眼が真四角になるように意識します。)

写真が撮れたらパソコンに取り込んでおきましょう。

↑こんな感じに撮れればOK。撮り方は自由ですので各自工夫してください。

・画像編集ソフトの準備

画像編集ソフトを立ち上げたら、上部のメニューバーから「ファイル」→「新規」を選択してキャンバス設定ウィンドウを開きます。

中のパラメーターの数値を「5cm x 5cm」「解像度600」になるように入力してOKをクリックし、キャンバスを作成します。

  

※ここでのサイズの数値は「1/8スケールの美少女フィギュアの顔の大きさ」がちょうど合うように設定しています。

もしも5cm四方に収まらないような大きいパーツのデカールを作ろうとしている場合は、サイズに合った数値に調整する必要があります。

※Photoshopをお使いの方は、カラーモードを「CMYK カラー」に設定することで、画面で編集中の色と印刷物の色の差を抑えることができます。

RGBモードはパソコンのモニターで表現できる色を扱って編集するため、CMYKで表現することができない色が使われているデータを印刷しようとするとその色は正常に印刷できず、画面の色と印刷物の色が若干違ってしまいます。

CLIP STUDIO PAINTではCMYKモードで編集する事ができないので、印刷した後に画面の色と見比べてみて、色の違いが気になるようなら調整しましょう。

↑Photoshopを使っている方はカラーモードを「CMYK」に


・キャンバスに写真を取り込み

「ファイル」→「読み込み」→「画像」を選択して、撮影した画像をキャンバス内に取り込みます。

画像の四隅の丸をドラッグして(四隅の丸が表示されていなければ「編集」→「変形」→「拡大・縮小・回転」(ショートカット Ctrl + T)を選択して変形モードに移る)、”画像に写っている定規の目盛り5cm分をキャンバスの左端~右端に合わせる”ようにサイズを調整して、変形を確定します。
(縦横比を変えないように注意!)

 
 

これで「今からパソコンの画面上で作る瞳のサイズ」と「実際に印刷されて出てくる現実でのサイズ」がほぼ同じになりました。

【先にキャンバスサイズを正確に合わせるのはなぜ?】

「最初にサイズをキッチリ合わせなくても、まず自分が描きたい大きさで瞳を描いて、印刷する前に調整すればいいんじゃない?」と思われる方もいるかもしれません。

確かにそれでも構わないのですが、印刷時に余計な拡大・縮小を行うほど「編集中に見ていた時のサイズ感」から離れていくことになるため、できれば製作開始から印刷までサイズの変更は極力行わずに作るのが望ましいと私は思っています。

線の太さなど画面上では良い感じに見えていたものが、印刷直前にサイズを変更することで印刷物が意図しない大きさになってしまうかもしれません。

実際に私も「眉毛やまぶたの線が思ってたより細かったり太かったりして作り直し」という事はよくあります。

先ほどキャンバスを作成する時に解像度を600で指定しましたが、これは私が瞳デカールを作る時に「画面上での編集のしやすさ」と「画面上で見た時と印刷物のサイズ感のギャップ」のバランスが一番取れていると感じたのが「解像度600」だったからです。
(解像度とは簡単に言うと「一定の大きさの範囲にどれくらい細かく描くか」を数値化したもので、A4の紙に太マーカーで描くかボールペンで描くかの違いみたいな感じです。数字が高いほど細かくなります。)

もし上記の設定で「なんかやりにくい」「画面上と印刷物のサイズ感があまりにも違う」と感じたら、解像度の数値を変えると解消されるかもしれませんので、各自お好みで調整してください。

なるべく顔パーツが左右対称で真ん中に来るように、回転と移動も使って調整します。

 

資料画像の用意

「資料集め」って意外に結構面倒ですよね…

私もつい最近まで資料集めを面倒くさがる人間だったので分かりますが、良い資料が手元にあるのと無いのとで結果が目に見えて違ってくるのは間違いありません。

「自分の頭の中のイメージを正確に描き出す」というのは言葉で言うよりもずっと難しく相当な鍛錬が必要ですが、そのイメージに近い画像を手元に置いておくだけで、イメージが明確化されて完成時の仕上がりはグッと良くなります。

今は『美少女イラスト』でネット検索すれば参考にできるイラストがいくらでも簡単に手に入る時代ですし、「プロほど資料集めを怠らない」といった言葉もあるほどですので、ここは面倒くさがらずに資料を用意しましょう。

写真を取り込んだのと同じ方法で参考資料をキャンバス内に追加したら、瞳を描くのに邪魔にならないよう端の方に置いておきましょう。


顔パーツ写真の調整

顔パーツの撮影時に角度が付いてしまっていたり、明るさが暗すぎる場合はここで調整をします。

 

・角度が付いている場合の調整
撮影時に角度が付いて背後の方眼にパースが付いている場合は、「編集」→「変形」→「自由変形(ショートカット Ctrl + Shift + T)」を選択します。

画像の四隅に四角いボックスが現れますので、この四角をドラッグすることで写真に付いたパースを自由に調整する事ができます。

背後の方眼が真四角になるように変形して、問題なければ確定させます。

 

・画像の明るさを調整
真上から撮影している以上、大抵の場合は自分の手の影などが落ちて画像が暗くなっているかと思います。

画像が暗いままだと瞳を作りにくいので、実際の色味に近くなるように明るさを調整します。

「編集」→「色調補正」→「レベル補正」を選択して、レベル補正のウィンドウを表示します。
(※グレーアウトしていて選べない場合は、レイヤーを右クリックして「ラスタライズ」を選択してください。)

上の段の真ん中のカーソルを左にググーっと動かすと画像が明るくなっていくので、顔パーツの色が好みの肌色になるように明るさを調整します。

明るさを上げたことで画像が白くかすんでいるようなら、上の段の左のカーソルをちょっとだけ右に動かすと、いい感じに画像が濃くなり引き締まったようになると思います。

 
 

・画像の色味を調整

撮影の具合で肌色が赤っぽい/黄色っぽかったり、彩度が高い/低い場合には「編集」→「色調補正」→「色相・彩度・明度(ショートカット Ctrl + U)」を選択して、各々いい感じになるように調整しましょう。
肌色が赤っぽい場合は色相のバーを右に、黄色っぽい場合は左に動かすとちょうどいい肌色になります。

肌色の色味が違ったままだと、その肌色に合うように瞳を作ってしまい実際にデカールを貼った際に違和感が出てしまいますので、ここで色味をバッチリ合わせておきましょう。

 


※この「自由変形」「レベル補正」「 色相・彩度・明度 」と前に説明した「拡大・縮小・回転」は今後も多用しますので、ここで使い方を覚えておきましょう。



結構長くなってきましたので一旦ここで記事を区切ろうと思います。
引き続き後編をお楽しみください。
 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。