いよいよ最後のまとめになります。

前回同様、本題に入る前に今ある問題点とその対策案から。
 


現在の問題点と対策

・ゴムチューブにより型の外側だけに力が掛かり、中心部の抑える力が弱く、中心部まわりにレジンが薄く広がる
 ゴムで縛った後、真ん中あたりに何かを挟んで中心部にも押さえつける力が加わるようにする。

 追記:ゴムと抑さえ板の間よりも、抑さえ板と型の間に薄い板を仕込んだ方が効果的と思われる。(下図)
 なんとなく上面の方に仕込んだ方がいい気もするが、ほんとに微々たる差なので下面でも一緒?
 薄板のサイズ、厚さはどれくらいがベストか? 要検証。
 あんまり厚いと段差で型が変形する恐れあり(中心部まわりはほぼゲートだけなので問題ない?)。

抑さえ板と型の間に薄い板を仕込む

 
 
・遠心力でレジン液が逆流上昇し、紙コップが抜ける
 レジン液を流してラップをかぶせた後に、長めのマジックテープバンドで型全体をコップごと固定したらどうか。
 準備時にあらかじめマジックテープバンドを型の下に敷いておく。
 これでコップ抜けを完全に防止できれば、 回転速度の上限がなくなりより精度も上げられる?
またコップの底穴を小さくすることでネズミ返し効果により逆流に抵抗=より下に向かってレジン液が流れる力が増すのではないか?要検証。

・遠心機を回している時に型が寄って遠心機が揺れる
 遠心機を押さえつけるのに力が要り、上手く回せない

 型にタオルなどを巻き付けて隙間をなくし、中心から寄らないようにする。

 
次回の複製にて実証します。それでは本題。
 


遠心複製の準備

手動の洗濯脱水機(以下「手動遠心機」と呼称)を用意。
アマゾンで5000円くらい。

手動の洗濯脱水機

 
この手動遠心機ですが、動かしてみるまで知りませんでしたが蓋の部分にギアが内蔵されており、ハンドルをちょっと回すだけで内槽はものすごいスピードで回転する機構になっています。

確かに洗濯物を脱水するのに手回し分の回転ではいくら回しても足りませんね、とはいえ全力で回せばその分猛スピードで回転するので、複製に使うには力を加減する必要があるくらいです。

※噂によると、電動砥石機を改造して使うといった例もあるようです。
 この脱水機を使った例だと型の大きさはせいぜい24cmくらいが限界と思われますが、電動砥石機を使うともっと大きな型も使えるかもしれません。電動だから楽だし。
 気になる方は要チェック。

足の付いた鍋敷きを手動遠心機の内槽に入れる。100均で20cm 。
内槽の底が凸凹だったので、型が水平に乗るようにするため。
もともと底が平らな物なら必要ない。

足の付いた鍋敷きを手動遠心機の内槽に入れる
足の付いた鍋敷き 20cm 100均

 
手動遠心機内に型を乗せる。

手動遠心機内に型を乗せる。

 
ラップ、輪ゴム3本くらいを用意。
ラップの大きさは紙コップの口を十分覆える大きさなら問題なし。普通に四角に切れば事足りるはず。

紙コップの口を十分覆える大きさのラップを用意

 
回転時に遠心力でレジン液が上に昇り紙コップからこぼれるので、レジン液を注いだ後にラップと輪ゴムで口をふさぎます。

この際、レジン液の反応で発熱するため空気が膨張してラップが膨らむ→ラップが外れる or 紙コップごと抜ける→レジン噴火→\(^o^)/オワタ

といった事になるので、熱膨張した空気を逃がすためにラップの真ん中くらいにつまようじなどで小さな穴を開けておきます。

ラップの真ん中につまようじで穴を空ける

 
念のため紙コップをしっかりと型に押し込めておきましょう。紙コップが折れ曲がらない程度で。

複製の準備が整いましたので、いよいよ複製に入ります。
 


複製

 
先に全体の手順を要約すると、

・レジン液A・Bを計量して混ぜる(同時にストップウォッチ開始)
・レジン液投入
・コップの口をラップを被せて輪ゴムで留める
・手動遠心機の蓋を閉めて回転

といった感じです。

 
まずはレジン液A・Bをそれぞれ計量。

レジン液A・Bをそれぞれ計量

 
A・B液を混ぜると同時にストップウォッチ計測開始。
A・B液を割りばしなどで素早く混ぜ合わせます。

すぐさま型にレジン液を注ぎ込む。

型にレジン液を注ぎ込む

 
コップの口にラップを被せて輪ゴムで留める。

コップの口にラップを被せて輪ゴムで留める

 
手動遠心機の蓋をして、ハンドルを回して回転させます。

手動遠心機の蓋をして、ハンドルを回して回転

 
1分置きくらいに回転を止めて、蓋を開けて中の状態を確認します。
回し続けていた方がいいかもしれませんのでそこはお好みで。チキンな私は確認派です。

 
レジン液が硬化する前に、型に刺さった紙コップを抜いておきます。
紙コップ内にレジンが残った状態で硬化してしまうと型から抜けなくなり抜くのが大変ですし、型の破損にも繋がります。

 
参考として、この時の私の環境だと、WAVEさんの180秒硬化レジン液を冬場の夜の超寒い中でやって大体5分くらいで硬化しだします。
硬化時間は使用するレジンや季節などの環境によって変わってくるので、各自調整してください。

レジン液が完全に硬化するまで型を安静な場所に置きます。
上記の環境だと1~2時間くらいで十分硬化します。

レジン液が完全に硬化するまで型を安静な場所に置く

 
・複製時の補足
 

外壁が透明の物は遠心機の中が見えるので、レジン液が漏れてないか回しながら常に確認します。
レジン液が漏れ出すと飛散したレジンが外壁に付着しだすので分かる。

レジン漏れを確認したらすぐに停止して型を取り出し、飛散したレジン液をティッシュなどで拭き取ります。

レジン漏れが起きるくらい高速で回していたとすると、おそらく型内部にレジン液が十分行き渡っている可能性の方が高いので、型を取り出してそのまま硬化待ちしていいでしょう。
(型の状態によります。最初から紙コップが抜けやすかったとか、ゴムの縛りが強すぎて変形して型に隙間ができてたという要因も考えられる)

型の合わせ目からレジン液が漏れる可能性もあるので、用心するなら型をスーパーの袋などに入れておくといいかも。

用心するなら型をスーパーの袋などに入れておく

 
できるだけ余剰分レジンの逆流を減らすため「最低限の量を流し込んで回転→足りなかったら継ぎ足す」といった形を取りたいので、やや多めにレジン液を用意しておき、最初の投入で全部入れずに残しておくようにします。

ただし継ぎ足す場合は蓋を開けてラップを外し、レジン追加、ラップを被せ、蓋をして…と、かなり時間との勝負になってきます。

また、紙コップ内のレジン液が少ないということは落差によりレジンが下方向に流れていく力も減ることになるので、バランスが難しいところです。

追記: 対策案のマジックテープで紙コップ抜けを完全に防止できればこの懸念はなくなります。レジン液多めに入れてOK。要検証。
 


型の解体

レジンが十分硬化したと思ったら、型を解体してパーツを取り出します。

レジンが完全に硬化した状態

 
クリップを外してゴムチューブ、円盤を取る。

シリコン型を2つに割りますが、力任せに一気に剥がすと中のパーツの破損に繋がるので、型を回しながら少しずつじわじわと剥がしていくようにします。

ある程度まで剥がれると固着が強い部分・弱い部分が分かってくるので、弱い部分から広げるようにして優しく剥がしていきます。
赤子を扱うかの如く丁寧に。

シリコン型を割った状態。

シリコン型を割った状態

 
このままパーツを取ろうとすると、ゲートの根元で折れた時にパーツが喰われてパーツが欠損するので、先にゲートをニッパーで切ります。

ゲートをニッパーで切る
パーツだけを取り出した状態

 
パーツと不要なゲートを全部取り外したら、シリコン型に残ったレジンの粕を取り除き、再び型を合わせます。

「型の組み立て」に戻って周回プレイ。
 


おわりに

手作り遠心複製、いかがだったでしょうか。

冒頭で「敷居はかなり下がっている」と言っておきながら高価な大型の真空脱泡機を持ち出してきて「いきなり矛盾してるやん!」と自分でツッコミを入れたくなりましたが、まぁそこは粘度埋めでカバーできますし。

紹介したのはあくまで私の環境での、私なりに最善と思うやり方の一例ですので、もし実践されるのならどんどん自己流にアレンジして、自分に合った自分の環境ならではの最良の方法に昇華していただければと思います。

少なくとも今まで私が実践していた複製法と比べると、効率も精度もかなり大幅にアップしているので、今回の遠心複製法は今後の複製のメインにしていこうと思っています。

遠心複製での成果。髪の毛先まできれいに抜けている

 
現状では型の最大サイズが限られていてあまり大きなパーツには使えなかったり、まだまだ改善できる課題もたくさん残っていますので、今後も研究を重ねて、あらゆる形状のパーツに対応できるようにしていきたいです。

いずれ研究が煮詰まってきたら、さらに詳細な解説付きで紹介ページに載せる予定ですので、お楽しみに。


めざせ複製マスター!
 

最後の追加検証につづく→
 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。