その1に引き続いて、手作り遠心複製の手順を紹介します。
本題に入る前に、まずは今日までの間に発覚した問題点とその対策案から。
現在の問題点と対策
・パーツ先端が上向きに尖っている部分に空気が溜まる
なるべく先端に向かって遠心力が働くように、また同時に空気が逃げやすい道順も考えながらパーツを外向きに斜め下になるように配置する。(下図参照)
パーツが浮き上がらないようにシリコンくずに埋めてしまい、硬化後にカッターで切り出す。
・シリコンくずの表面の凹凸を型の噛み合いに利用できると思ったが、形が複雑になり過ぎて噛み合いにくい
体重をかけて型同士をしっかり合わせ込む。
必要なら下面の硬化後にもう一度シリコン液を薄く流し込んで、凹凸を減らす。
・シリコンくずの表面の凹凸が全面にあることで、ゲート(レジン液の通り道)が掘りづらい。
ある程度は凹凸を避けれるが、ゲートが曲がるとレジン液が通りにくかったり、空気溜まりの要因になる懸念。
一つの案として、上面を型取る際に重めの棒を沈めてゲートの型を取る。
シリコンに浮かない重さとなると材質が限られ、パーツごとに長さも違うので難しいかも。短い棒だけ揃えてゲートのアタリを作るだけでも効果的か…?
ゲートが少し曲がってもレジンが流れ込む力が減少するだけで流れないわけではないので、ゲートが直線にならない前提でこのまま進めるか。要検討。
次回の型作成にて実証します。それでは本題。
ゲートの作成
前回までで下面・上面の型取りが終わり硬化した状態から。
鍋からシリコン型を取り出し、パーツを全て取り外す。
離型剤を塗っていても意外と取り出すのが結構大変なので、根気よく少しずつ。
型の上面(穴が開いている方)にゲートを作ります。
※多分レベルの考察だが、空気が上に抜けていくのを考えればゲートは上面に作った方が有利か?
ちなみに試作1号は何も考えず下面に作ったが、空気溜まりなどは起きなかった。
各パーツに1本ずつ、メインのゲートを作る。
なるべくパーツの真ん中、レジン液が通るのをイメージして通りやすい場所から、シリコン型の中心に向かって真っすぐに溝を掘る。
ゲートを掘るのは自作のゲートカッターを作ると便利。
100均のカミソリ替え刃を割りばしの先端に取り付けるだけ。以前ツイッターで誰かが作られていたのを参考にしました。
作る時も使う時も非常に怪我をしやすく、怪我の程度も笑えないレベルで出血する(自身で経験済み)ので、作る際は十分注意してください。
ゲートカッターはちゃんとしたそれ用の販売品をツイッターでちらっと見たことがある。欲しい。
全パーツにメインゲートを掘った画像がこちら。
これだけだとレジン液が流れ切らないので、さらにゲートを追加する。
今回の例だとそんなに大きいパーツは無いので3本もあれば事足りるが、 パーツの大きさや形状によってはもっとゲートの本数が要る。
ゲートが少なくて済むに越したことはないので、ゲート少なめで一回複製してみて、足りなければ追加といったやり方が吉。
ここでパーツ同士の間隔が狭いと、シリコン型の中心に向かうにつれてゲートの渋滞が起きる。
小さいパーツだけを一か所にまとめた方が分かりやすいと思ったが、ゲートの渋滞を見落としていた。
大きいパーツと小さいパーツを交互に配置するとよさげ?
よほど小さいパーツならゲート1本でも抜けそうな気もする。
追記:小さいパーツでもゲート最低2本は必要な模様。(下画像)
ちょっと見にくいが、下の画像のように隣のパーツとゲートを繋げてしまうのもアリ。
その際レジン液が通りやすいようにY字型に繋げるといい。
ゲートを掘り終わったのがこちら。
多分レベルの推察でちゃんとした実証はできてませんが、ちょっと思い付いたので真ん中の穴とゲートの面の角を面取りするようにカットしてみます。
こうすることでレジン液がより奥に行こうとする力が強くなり、同時に空気が逃げやすくなる気がします。多分。
あんまり大きくカットしすぎると、その分レジン液の無駄が増えやすいので注意。
シリコン型の組み立て
シリコン型が完成したので、型の上面と下面をしっかり嚙み合わせます。
シリコン液が少なく上面にシリコンくずの凹凸が残っていると、次の板で挟んだ時に型が変形するので、カッターでそぎ落として平らな面になるようにします。
シリコン型を固定するために上下を固い板で挟みます。
上面にはレジンを注ぐための紙コップを刺すので穴が開いているものじゃないといけません。
これといった指定品が無いので、用途に合う形状の物を探してください。(自分は100均にあった鉢植えの土台として使う商品からキャスターを外して使っています。)
ゴムチューブで型を縛っていきます。
あまりきつく縛り過ぎると型が変形するのでほどほどで。
ゴムチューブはアマゾンで3mが2本で1000円くらい。
紙コップが刺さる穴を避けながらうまく縛ります。
結構難しいのできれいに縛るにはコツがいる。
巻き終わったらゴムチューブの先端同士を100均のキッチン用クリップで留める。
レジンを注ぐ用に、紙コップの底に穴を空けたものを用意します。
この時開ける穴はなるべく小さいほうがネズミ返しみたいな効果で遠心力によるレジン液の逆流が起きにくいと思ったけど、どの道そこに抵抗が掛かることでコップ自体が押されて抜けてしまうのでダメでした。
詳しくは次の記事での説明になりますが、早く回し過ぎると遠心力でレジン液が上に昇って逆流しコップが抜ける問題があるので、現在対策案を検討・試行中です。
コップの穴はなるべく大きいほうがいいかも。多分。
コップを型に刺して、型の組み立てが完了しました。
つづく