3Dプリンタで出力した状態から積層跡や面荒れ・傷を取り除くため、磨き作業が必要になってきます。
実際に型取りに使えるようになるまでの磨き作業の手順を紹介します。
左:磨き前 右:磨き後
下処理
無事3Dプリント出力が出来たら、まずはパーツの周りのサポート材を取り外します。
尖っている部分もあり素手で扱うのは危険なので、ペンチ・ニッパー・デザインナイフなどの工具を使いましょう。
荒れている面や角の荒れなどを、金属ヤスリやデザインナイフなどを使って均します。
パーツ表面にフィラメントの粕や糸引きなどが付着していれば取り除きます。
一旦パーツを仮組して、パーツの嵌合い具合を確認します。
キツくて入らないようであれば、凸部分を削るなどして奥まで入るようにします。
磨き ~ 低番手
荒れている面を中心に、120番手のスポンジヤスリで全体を磨いて傷を均等にします。
角の立った部分や細かなディテールのある面は、120番のような粗い目だとすぐに削られて無くなるので、磨くのを避けるようにします。
私はパーツの磨き作業は、ゴッドハンド社の「神ヤス」を愛用しています。
斜めにカットすることで狭い谷のような部分にもヤスリが奥まで届くようになり、使い勝手が格段に上がります。
平たい部分は平スティックヤスリ、谷の奥の部分は紙ヤスリを小さく切った物を使うなど、適材適所で道具を使い分けて磨いていきます。
さらに240番→400番手というように番手を上げながら磨いていき、磨きの下処理は完了です。
※3Dプリンタで使用しているフィラメントの材質によって、磨きやすさや切削性が異なってきます。
クホリア公式で取り扱っている「クホリアフィラメント」は出力品の切削性に優れ、一般的なPLAフィラメントよりも比較的容易に磨くことができます。
サフ吹き、キズ埋め
パーツを歯ブラシなどでブラッシング、またはエアブラシのエアーだけ空吹きしてエアブローするなどして、パーツの細かな隙間の削り粕を取り除きます。
パーツの接合面など、邪魔にならない所にピンバイスで2mm(小さいパーツは1mm)の穴を開け、適切な長さに切ったアルミ線を刺して持ち手を作ります。
穴が開けられないくらい小さい・薄いパーツは、猫の手の先にマスキングテープなどを逆巻きに巻き付け、パーツを粘着面にくっつけます。
クレオスの500の溶きパテ缶スプレー、もしくはビンタイプを薄め液で適量希釈しエアブラシでパーツ全体に吹き付けます。
表面の傷の確認だけなので、ここでは全ての傷を埋めようと大量に吹き付けなくてもいいです。
500番の溶きパテだとディテールの細かな部分はすぐに埋まってしまうので、吹くのは少量だけにし、荒れていた面など傷の目立つ部分をやや重点的に吹きましょう。
乾燥機で乾燥させます。
サフを吹いたことによって表面の小さな傷が埋まって、サフ吹きでは埋まらなかった大きな傷が見えやすくなっています。
ここで大きい傷が見られる場合は、500の溶きパテビンタイプを原液のまま爪楊枝の先などに取って傷に擦り込ませ、傷を埋めます。
再度乾燥機で乾燥させます。
500の溶きパテ原液を乗せて盛り上がっているところを、再度240→400番のヤスリで磨き直し、まわりと馴染ませます。
磨き ~ 中・高番手
400番手のヤスリで全体を磨きます。
※溶きパテを吹いたことによって、ここからヤスリの削り粕が大量に発生します。
メラミンスポンジでこまめにヤスリをリフレッシュしつつ、パーツのブラッシングやエアブローも随時行いましょう。
粉が手に付着するので、濡らしたタオルなどをそばに置いてすぐに手を拭けるようにしておくと便利です。
400番で磨き終わったら、さらに800番手のヤスリに番手を上げて磨きます。
サフ吹き ~ 中・高番手磨きの繰り返し
パーツをブラッシング・エアブローして粕を取り除きます。
先ほどの500の時と同様に、クレオスの1000の缶サフ、もしくはビンタイプを薄め液で適量希釈したものをエアブラシで、パーツ全体に吹きつけます。
ここでは多少多めに吹き付けてもOKです。但し、液だれするほど多く吹いたり、細かなディテール部分を埋めたりしないように気を付けましょう。
サフを全体に吹き終わったら乾燥させます。
まだ小さな傷が見られるようであれば、500の溶きパテと同じ要領で1000のサフのビンタイプを原液のまま爪楊枝で傷に擦り込ませ、傷を埋めます。
再度乾燥させ、同様に400→800番のヤスリで磨き直してまわりと馴染ませます。
自分の納得がいく滑らかさになるまで、1000サフの吹き付けと800番の磨きを繰り返します。
仕上げ
納得いく仕上がりになったら、仕上げに1500番のサフを全体に軽く吹きつけ、3Mのスポンジ研磨剤マイクロファイン(1200~1500番相当)で全体を磨いて終了です。