前置き

このサイトで紹介するフィギュア製作の3Dモデリング作業では、主に「ZBrush」を使用します。

ZBrushの全機能を紹介するにはページ数がいくらあっても足りませんので、そこはすでに発刊されている偉大な著書の数々にお任せするとして、ここでは私がZBrushを使うにあたっての使用環境や製作工程フロー、よく使っている便利な機能などを紹介したいと思います。

ある程度ZBrushの基本機能を理解できている中級者向けの内容となっていますので、「まだZBrushを始めたばかり」というような方は、「製作する前に」で紹介している参考著書などで使い方や基本機能を学んでから読むことをオススメします。

また、ここで紹介しているバージョンはZBrush2020(フル機能版)なので、廉価版であるZBrushCoreや以前のバージョンでは一部使えない機能もありますのでご了承ください。

なお各機能の名称は日本語版での表記を使用しています。
   


3Dモデリング作業工程フロー

一般的なキャラクターのモデルを1体作るにあたって、作業全体の流れはだいたいこんな感じで行っています。

  • キャラクターの資料画像集め、ポーズ考案
     
  • DAZ Studioで身体パラメーターを設定・ポージングして、Tポーズとポーズ変更後の2種類をobj出力
     
  • Marvelous Designerにobjをインポート、服を作成(モデルによっては省略)
     
  • ZBrushにTポーズ、ポーズ後(作っていれば服も)のobjをインポート
     
  • キャラに合わせて頭部を形成し、インポートしたobjファイルの体に合わせる
     
  • 目や口など、顔のパーツをポリペイントで描く
     
  • 髪のラフを作って全体シルエットや頭部バランスを確認
     
  • 身体の調整、手足の表情、ディテールをざっくり彫る
     
  • 下着→服→靴→アクセサリ・小物等の順にラフモデルを作成し、作りながら各パーツをポリペイントで色分け
     
  • 顔のディテールを作り込み(表情に合わせた顔の変形、目の盛り上がり、口の中など)
     
  • 髪のディテールを作り込み
     
  • 服のシワや靴・小物など、各パーツのディテールを作り込み
     
  • 各パーツに影色・ハイライトをポリペイントで描き込む(SNS投稿や塗装のシミュレーションのため。モデルによっては省略)
     
  • パーツ分割
     
  • デシメーションで3D出力用にサイズを落として最適化する
     
  • 凹凸パーツを追加してダボ付け
     
  • スケールマスターで出力サイズを合わせ、全パーツをobjファイルで出力
     
  • Netfabbでパーツチェック・不良部分を修正し、stl形式で出力

      


ZBrush画面カスタマイズ・ホットキー設定

ZBrushは画面のカスタマイズの自由度に優れていて、好きな機能のボタンを取り出して画面のカスタマイズ欄の好きなところに配置できます。

ZBrushはとにかく機能の種類が多く、「あの機能のアレ、どこにあったっけ」という事が頻繁に起こり、その度に探すのはとても面倒で時間もロスします。

そのため、私はよく使う機能はとりあえず画面のカスタマイズ欄に出しておき、使いたい機能があったときに迷わずすぐに使えるようにしています。

また画面のカスタマイズ欄に入りきらなかった「使用頻度は少ないが使うときは使う」といった機能は、種類別に並べたカスタムサブパレットを1~5まで作って、左手デバイスのホットキーで瞬時に呼び出せるようにしています。

私は液タブを使用していて右利きなので、常にペンの持ち手を置いている画面右側に最もよく使う機能を集めることで、手の移動が最小限になるようにしています。

操作のわずらわしさがそのままモチベーションの低下や作品のクオリティ低下に繋がる事もあるので、操作を快適にすることには常に気を使っており、気になる機能を見つける度に頻繁にカスタマイズ欄を更新しています。

ZBrushメイン画面 カスタマイズ例

ZBrushメイン画面 カスタマイズ例

    

ZBrushカスタムサブパレット

ZBrushカスタムサブパレット

    


その他の細かな設定変更

・Ctrl+sで「ツール保存」になるよう変更
ファイル容量の肥大化を抑えるため、作成した3Dモデルの保存形式は「プロジェクト全体(ZPR)」ではなく「ツール保存(ZTL)」の方が効率的です。

デフォルトではCtrl+sは「プロジェクト全体の保存」になっているので、ホットキーを上書きして Ctrl+s で「ツール保存」を行えるようにしています。

ZTLにはアンドゥ履歴の情報は含まれないため、「過去に遡って作り込む前の状態からやり直したい」といった時などのために、作業工程毎に名前を変更して保存しています。

工程ごとにファイル名を変えてZToolを保存している
工程ごとにファイル名を変えてZToolを保存している。

     

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